意識に垂れ込めた酷く重たい真っ暗な闇を
上へ上へとかき分けたその先。
少年は差し込む光に促されるまま、
ゆっくりと瞳を開いた。
体が重い。
まるで穀物が限界まで詰め込まれた麻袋のようだ。
力を入れて持ち上げようとしても、ピクリとも動かない。
無理矢理にこじ開けた瞳の向こうには、
これ迄見た事も無い、
少年の感覚から言えば異様な光景が広がっていた。
自身の周りを透明な布が幾重にも包んでいる。
自分の体も、幾本もの細く透明な管が繋がれている。
――いったい何がどうなっている!?――
不自由な体と未知が、恐怖を呼び起こす。
怯え、巡らせる視界の先――
――透明な布の向こうから
一人の女性が自分を見ていた。
外の人間と同じ、薄い色の肌。
だけど髪と瞳の色は、自分達と同じ黒。
――知ってる!――
その人を見た時、その身を包む倦怠感を貫き、
不思議な衝動が体を震わた。
――そうだ、知ってる――
誰よりも、深く長く知ってる。
その強さも優しさも、全て知ってる。
女性が自分に向かって微笑む。
唯、それだけで、
少年の体は安堵に包まれ、
再び深い闇の底へと沈んでいった。
19'/06/16 UP
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